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​知られざるせん妄の世界

2023年3月に他界した世界的音楽家 坂本龍一さんは、直腸がんと戦う中、手術に臨みました。

不運なことに、術後すぐに、彼はせん妄に苦しみます。

坂本さんは、手術直後であるにも関わらず、

・「会議に遅れそうだ」とメッセージを送り

・翌日には、韓国の病院にいると思い込み

・テレビCMの音楽が頭の中で繰り返し

・コンピュータがハッキングされたと感じ

・手が思うように動かなかった

といった幻覚を体験します。

のちに、坂本さんは

「事前に予測できなかったのは、術後のせん妄でした。(中略)ればっかりは医者にも、どうにもできないらしい。」と述べています(*)

 

(*)

坂本龍一「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」新潮社(2023年)13−14頁(https://www.shinchosha.co.jp/book/410603/

しかし、せん妄の最新の研究によると、せん妄は、スクリーニングしてモニタリングすることで、せん妄発症を事前に予測することが可能で、せん妄を早期に発見し、医療介入することができるようです。

もはや、せん妄は、「どうにかなる」病態です。

逆に、せん妄状態を放置すると、入院予後に影響したり、入院期間が伸びたりするだけでなく、転倒・転落、チューブ抜去、院内徘徊が増加したり、退院後の死亡率が高まったりします。

有害事象が発生した場合、家族から責任追及される可能性もあるでしょう。

​せん妄は、がん患者や疾病による入院患者だけでなく、交通事故の被害者にも発症する症状です。

坂本さんのように、せん妄で苦しむ人が少しでも減るように、また、せん妄により転倒したり点滴チューブを外したりする事故が起きないように、本研究会のテーマを企画しました。

 

​会員の皆様だけでなく、保険事故に関係する方々、患者の皆様、多くの医療者の方々のご来場をお待ちしています。

坂本龍一(www.shinchosha.co.jp_book_410603_).jpg
ファッショングリッチ
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